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テイルズオブヴェスペリア フレン夢

第6章 港の町 カプラ・トリム


しかし、このまま黙ることはできない。
フレンはユーリの前に立ちふさがった。
「そうやって帝国に背を向けて何か変わったか?」
強い言葉にユーリは珍しくたじろぐ。
「人々が安定した生活を送るには帝国の定めた正しい法が必要だ」
「けど、その法が、今はラゴウを許してんだろ」
「だから、それを変えるために、僕たちは騎士になった。下から吠えているだけでは何も変えられないから。手柄を立て、信頼を勝ち取り、帝国を内部から是正する。そうだったろ、ユーリ」
二年前からのことを思い返し、そう確認する。
決してユーリが忘れてしまったわけではないと信じているのだけれど。
「……だから、出世のために、ガキが魔物のエサにされんのを黙って見てろってか?下町の連中が厳しい取立てにあってんのを見過ごすのかよ!」
その答えもお互い知っている。だからフレンは何も言わない。その代わりにユーリが吐き捨てた。
「それができねえから、オレは騎士団を辞めたんだ」
「知ってるよ。けど、やめて何か変わったか?」
最初と同じ質問を返す。ユーリはもう何も返さない。
「騎士団に入る前と何か変わったのか?」
そのまま飛び出すようにユーリは部屋を出て行った。
静まり返った空間に、フレンが力なく肩を落とす。
「またやってしまった」
「あの、フレン……」
「……お恥ずかしいところを」
おずおずといった様子で声をかけるエステリーゼに詫びる。今のは彼女たちのこととは関係がない、ただの幼馴染の言い争いだ。
と、今度はヨーデルがエステリーゼに問いかけた。
「あなたはどうされるんですか?」
「行ってもいいのでしょうか?」
そこに選択の余地があると感じてエステリーゼが返す。
てっきり自分たちと同行するものだと思っていたフレンが理由を問うと、先ほどと同じように彼女の瞳が輝いた。
「……ユーリと旅をしてみて変わった気がするんです。帝国とか、世界の景色が……。それと、わたし自身も……」
それは帝国だけでなく彼女にとっても良いことなのだろう。
深く頷いてフレンはカロルに視線を向けた。
「少年!」
「え……ボ、ボク……!?」
突然話を振られて驚くが構わずに伝言を告げる。
「ユーリに彼女を頼むと伝えておいてくれ」
「は、はい……!」
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