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テイルズオブヴェスペリア フレン夢

第6章 港の町 カプラ・トリム


「なんなのよ、あいつは!」
地団太を踏まんばかりにリタが言う。
彼女はウィチルより増して立場に捕らわれず常に自由で正直だとフレンは感じる。
「で、でも議会にかけられるんでしょ?」
おずおずとカロルが言うが、エステリーゼが首を振ってみせた。
「ラゴウは議会の重鎮ですから……」
「まるまる主張が受け入れられてお咎めなしってわけでしょ」
吐き捨てるようにリタが続ける。
彼女は意外と帝国を知っているらしい。
そんなぁと肩を落とすカロルを他所にリタは矛先を変える。
「で、こいつは何者よ!?」
「ちっとは落ち着け」
ユーリが呆れたように言うが、誰もが張り詰めた空気に疲れを感じており、ソディアすら咎めない。
「この方は……」
「この方は時期皇帝候補のヨーデル殿下です」
どこまで話そうかと躊躇するフレンに変わってエステリーゼが答えた。
カロルが冗談だと最初は受け取ったようだがエステリーゼ、フレン、ソディア、ヨーデル本人の様子を見てそれが真実だと悟ったらしい。
「あくまで候補のひとりですよ」
とヨーデルはもう一人の候補であるエステリーゼを前に謙遜する。
とは言うものの、様々な要素からヨーデルのほうがその座に近いことは候補者二人とも知っている。
「本当なんだ。先代皇帝の甥御にあたられるヨーデル殿下だ」
「ほ、ほんとに!?」
「はい」
はにかむヨーデルに対してはややシニカルな笑みを浮かべる。
「普通じゃお目にもかかれないものね」
「殿下ともあろうお方が、執政官ごときに捕まる事情をオレは聞いてみたいね」
ユーリの皮肉めいた言葉にエステリーゼが戸惑いの表情を見せる。
それを見逃さないはずがなかった。
「市民には聞かせられない事情ってわけか」
「あ……それは……」
「エステルがここまで来たのも関係してんだな」
エステリーゼは否定も肯定もしなかったが、それだけで答えになっていた。
腰に手を当ててユーリがため息をつく。
「ま、好きにすればいいさ」
ユーリが関わろうとしないのはフレンも見越していたが、次の言葉は聞き流せなかった。
「目の前で困ってる連中をほっとく帝国のごたごたに興味はねえ」
「ユーリ……」
思わず吐き出した言葉は想像以上に冷たく、エステリーゼやヨーデルだけでなく、も驚いた表情を見せた。
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