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テイルズオブヴェスペリア フレン夢

第1章 帝都ザーフィアス~デイドン砦


「そうと決まれば早く出発したほうがいいわ」
「主が来るのはまだ先のはずだぞ」
ソディアの言う主とはマイオキア平原に巣食う魔物の主であり、この季節に凶暴化して大群を率いて砦にぶつかる。つまり砦は主から帝都を守るためにあると言っても過言ではないのだ。そしてその前後は砦が閉鎖されてしまうので、帝都とハルルは行き来できなくなる。
むろんそれを計算して小隊も出発したのだが、は緩く首を振った。
「今はちょうどハルルの結界魔導器も弱まっている時期よ。のんびりしていると魔物との戦いが多くなるわ」
魔物退治は巡礼において、また帝国の民を守るために必要なことではある。が、かといって殲滅は不可能であるし、本来の目的から遠のいてはいけない。
フレンは少し考えて決断をくだした。
「ソディア、準備ができ次第出発する」
「了解」
敬礼をして去っていく背中を見ては鼻で笑う。
侮蔑しているようでもないが、好意的なそれでもない。
「いかにもお堅い『騎士』ね」
「仲良くやってくれるね」
命じるのではなく、諭すように言えばもちろんと返された。
どうも騎士のようには思えないし、ギルド関係かとも思うがまだ尋ねられる段階ではないだろう。
「それから、あなたの命を狙っている人たちがいるわ」
何でもないように話題を変えられて、フレンは首を傾けた。
「私の?相手側の妨害か」
「ギルドの人間に見えるけど、赤眼のフードには気をつけたほうがいいわ」
「わかった」
忠告は聞いて置いて損はないだろう。それに狙われているというならば尚更早く移動したほうがいい。
フレンは肝に銘じて詰所を出た。
兵士たちの様子を確認して、まだ旅立ったばかりであるし問題はないようだ、自分の馬の様子をみると妙に大人しい。
視線をやるとは着いてきたもののあまり興味がなさそうだ。髪を弄ったり空を見上げたりしている。
「馬を用意しようか?」
「馬は嫌いなの。徒歩でも問題ないでしょう?」
小隊には歩兵のほうが多いので、確かに問題はない。
案内人とは言え護衛する必要はないと言われ、フレンは基本的に自分の傍にいるようにだけ命じた。
自分の言葉にどれだけ彼女が従うかもわからないが、今のところ素直に応じている。
僅かに不安を感じながらもフレンたちは砦を出発した。
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