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テイルズオブヴェスペリア フレン夢

第5章 港の街 カプワ・ノール


「ここから出る」
言うや否やウィチルを抱えて飛び出していく。その碧眼が完全に据わっているのを見、呆然としかけたソディアが慌てて窓枠に足をかけた。
「追いかけるぞ!」
忌々しそうな様子に苦笑しても後に続いた。
外はすでに快晴、元の港町カプワ・ノールである。街の人々は天を仰ぎ、大いに喜んでいるだろうが見に行く余裕はもちろんない。
すぐに周囲にいた騎士たちに船の用意をさせているフレンとウィチルに合流する。
「お友だちは?」
「ラゴウの船を追いかけていった。バルボスと『探し物』も恐らくそこだ」
「追いかけるの?」
「当然だ。エステリーゼ様の安全も確保しなければ」
どうやら彼らに助けてもらったようで、実際には仕事が増えたようだ。頭を抱えたい様子のフレンはしかし幾分いつもの調子に戻っている。恐らくユーリたちの無茶を見て頭が冷えたのだろう。
「隊長、トリノー定期便を一隻用意できました!」
「よし、すぐに出航する!」
隊の半分を残してフレンたちは海に出た。波は穏やかだが、すぐには船は見当たらない。しかし水平線で爆発音が響いた。
「わかりやすくて助かる!」
とは言うものの一刻の猶予もない。最高速度で向かうよう指示し、船首へ向かう。現場に辿り着くと沈み行く船の傍に人の頭が見えた。こちらに声を掛けているのはカロルだろう。
「どうやら、平気みたいだな!」
それに応えてユーリが抱えている金髪が目に入った。
「……っ!ヨーデル様!」
間違いなくそれはこの巡礼の目的である『探し物』だ。
周囲の騎士とソディアたちにも緊張がはしる。
「今、引き上げます。ソディア、手伝ってくれ」
ユーリの手助けを受けながら全員を船に収容する。
彼の話によると残念ながらザギという暗殺者のせいでラゴウとバルボスは逃したそうだが、ひとまず全員の無事と『探し物』が無事見つかったのだから上々といった結果だろう。
船室に運び込むとややあってヨーデルも意識を取り戻す。
フレンはユーリたちをソディアとウィチルに任せてヨーデルの話を聞くことにした。
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