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テイルズオブヴェスペリア フレン夢

第5章 港の街 カプワ・ノール


「まったく、帝都を出て少しは変わったかと思えば……これでは無茶の規模が膨れあがっただけだ」
「フレン?」
聞きとがめたエステリーゼが不思議そうな声を出す。フレンは彼女に向き直って、少しだけ吐露した。
「ユーリは守るべき物のためならとても真っ直ぐなんですよ。そのために自分が傷つくことを厭わない。それがうらやましくもあり そのための無茶が不安でもあるんですがね」
それは十何年も彼と生きてきて何度も考えたことだ。そして結局のところ似た者同士であるユーリも同じようなことを考えているのだろう。
「ね、エステル、もう行こう。ユーリに置いていかれるよ」
カロルが遠慮がちにエステリーゼの腕を引く。エステリーゼはフレンを気にしながらもそれに応じた。
「ええ、わたしたちもこれで」
「あ、エステリーゼ様」
一つ問いかけたいことを思い出して引き止める。エステリーゼもカロルも足を止めてくれた。
「……その、どうですか?外を、自由に歩くというのは?」
「全部をよかったというのは、難しいことですけど……」
そこで一度言葉を区切り、色々と思い返しているのだろう、目を閉じてから真っ直ぐにフレンを見つめた。
「わたしにもなすべきことがあるのだとわかり、それがうれしくて、楽しいです」
「そうですか。それはよかった……」
安堵を隠さずにフレンも微笑む。
エステリーゼにも外に出てほしいと思っていた。外の世界を知って色々な可能性を知ってほしい。
今度こそエステリーゼとカロルを見送って、フレンは満足げに息を吐いた。
「彼女は皇帝には向かないわね」
突然背後から声がしてフレンは飛び上がった。
慌てて振り返れば雨に濡れる白銀の長い髪。
「!駐屯地に待機するように言ったはずだが」
「あなたのそばにいるほうが気分がいいわ」
何とも返答のしにくいことを言うと、もう一度あのお姫様は純粋すぎると繰り返す。
そちらの方には同意して自分の思いを口にする。
「彼女にはユーリのように自由に生きてほしいと思う。……あなたのように」
「自由には責任が伴うわ」
「それでもさ」
そこで話を区切り宿へ行こうと誘う。そろそろウィチルの確認が終わっているはずだ。
フレンはもう一度エステリーゼの去った方向を見て歩き出した。
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