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テイルズオブヴェスペリア フレン夢

第5章 港の街 カプワ・ノール


わざとらしく咳ばらいをしてフレンは考える風に腕を組み顎に手をあてる。
「しかしギルドと手を組むとは……ラゴウは何を考えているんだ」
ただエステリーゼを皇帝に据えて影で操るだけとは思えない。その手をギルドまで伸ばそうと考えているのなら、非常に厄介なことだ。
「『探し物』は執政官の屋敷に?」
「日数を考えて船で出た可能性は低いかと。しかし執政官の屋敷には地下室もあるとの話です」
「まあそう簡単にいかないでしょうね」
「だが必ず見つけなければならない」
フレンの強い言葉にソディアとウィチルが同調する。
「小隊に周辺の魔物討伐をさせよう」
無為に駐屯させるのは『巡礼』らしくないし、少しでも住民の助けになればいい。あわよくばリガブロを見つけられるかもしれない。
魔導器から少しでも離れられればとを連れてフレンたちは街の傍の駐屯地へ向かった。

駐屯地にを一時待機させて戻ろうとするとちょうど橋の向こうからやってきたユーリたちに遭遇した。
どうやらそのままノールの外に出て行く様子なので思わず苦笑してしまう。
「相変わらず、じっとしてるのは苦手みたいだな」
言われてユーリは子どものように拗ねた表情を見せた。
「人をガキみたいに言うな」
彼は自分と同じ年でもう子どもではない。自分で考え、行動することが出来る。そうしてほしいとこの2年間ずっと思っていた。
けれど。
「ユーリ、無茶はもう……」
「オレは生まれてこのかた、無茶なんてしたことないぜ」
フレンの言葉がわかっていると言わんばかりに遮るとわざとらしく肩をすくめて見せた。
「今も魔核ドロボウ追ってるだけだ」
「ユーリ……」
それが嘘だと言うことはフレンもわかっている。
先ほど少年が言っていた『子ども』という言葉が何を示すのか。
「おまえこそ、無理はほどほどにな」
その忠告が意味がないことはユーリも理解しているのだろう。結局はどっちもどっちなのだ、とフレンは諦めた。
「ウィチル、魔導器研究所の強制調査権限が使えないか確認を取っておいてくれ」
ウィチルは大きくうなずいて宿へ駆け出した。ソディアが随行する。
それからユーリの背中を見送ってフレンは大げさなほどため息をついた。
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