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テイルズオブヴェスペリア フレン夢

第4章 花の街ハルル~エフミドの丘


それだけでなく花びらは雪のように降っているし足元にも積もり続けている。
「満開の樹を見るのは初めて?」
「砦から見たことはあるが……綺麗だ」
「私もこんなに咲き誇っているのは初めてだわ」
言いながらは宿屋の前でくるりと回った。
その表情はエステリーゼとは似ても似つかないが珍しく見せた幼い仕草はとても好ましく感じる。何だかむず痒い感じだ。
「あれを直しちゃうなんて貴方のお友だちはすごいのね」
「ああ、しばらく下町でくすぶっていたが本当は私などよりずっとすごい奴なんだ」
「それにピンクの髪の女の子、不思議な術を使ったって」
「彼女は治癒術に秀でているからね」
あえてぼかした言い方をするとは少し考えてそうなの、と応え、それからもう一度くるりと回る。
「でも私、あなたも凄いと思うわよ」
「え?」
「そんな二人に追いかけられる価値があるんでしょう」
「そう……だろうか。自分ではよくわからないな」
心からそう言うがは意味ありげに微笑むだけだ。
「……気を付けないと足元滑るよ」
誤魔化すように言うとそうねと神妙に頷いた。
「大地に足をつけているものね」
「フレン小隊長!」
言葉の意味を問う前に丘の上からソディアが呼びかける。フレンの表情が引き締まった。
「結界は?」
「安定しています。むしろ良すぎるくらいです。こんなこと普通じゃありえない」
ウィチルの報告もエステリーゼのことを思えば納得がいく。
「安全が約束されるなら我々はノール港へ出発しよう」
「西のエフミドの丘を越えた先ね」
エフミドにも最近作られた結界魔導器はある。赤眼のことを考えたフレンはそちらに拠点を作ることにした。そしてウィチルに向き直る。
「君には無駄足を踏ませてしまい申し訳ない」
「とんでもない!お陰で貴重なデータを得ることができました」
元々魔道士にありがちな気難しさがないウィチルは大げさに首を振って、それから戸惑いがちに大きな鞄を抱えなおした。
「それで……小隊長様の許可が得られるのでしたら、このまま同行したいのですが」
それは願ってもない申し出だ。これからも魔導器に関するトラブルがないとは言えないし、そうなれば専門家がいれば小隊の対応にも幅が出る。
「むしろこちらからお願いしたくらいだ。よろしく頼むよ、ウィチル」
「はい!」
フレンは再びウィチルの小さな手を取った。
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