第1章 全ての始まり
ーー翌日
今日はいよいよ成人の儀式当日。私は2人が神の岩に登ってる間にペルライフおばさまのお手伝いをする事にした。良い肉を食べさせてあげたいって言う事で、村の外に出て鹿の肉を狩ってきたのである。旅をしてきたので処理の仕方も分かっていたから大して苦労はしなかった。それに弓も普通に使えるし、短剣もサバイバル用に持ち歩いている。
「ペルラおばさま。良い肉を手に入れられました!」
「ほんとかい⁉︎アンタに頼んで良かったよ」
「これくらいはさせて下さい。それに、成人するお二人に少しでも良い物を食べさせてあげたいですし」
「ホントにありがとね。さて、此処からはアタシの仕事だよ」
おばさまは腕まくりの仕草をしながら陽気に料理を作っていた。その間私は外で自分の武器の手入れをする事にした。今回は私は料理は手伝わない方が良いと思った故の行動である。流石に成人した日に素性の知れぬ人の料理食べたいとは思わないだろうな。
「うーん…大分剣もボロボロになってきた…やっぱりそろそろ新調した方が良さそう」
私が主に使うのは細身のレイピア 。刺突要因だか、ちゃんと斬撃も繰り出せる、割と使いやすいのが特徴である。しかしこのレイピア 、見た目よりも重いのである。舐めてかかると普通に重くて落としてしまうのだ。私も最初は軽い物だと思っていたけど実際に持つと本当に重いのである。
「姉ちゃん、カッコいい武器持ってるな!」
「ありがとうございます。私のお気に入りなんですよ」
「そりゃあいい。大事な物を大切にして損はねえからな」
「ええ、そうですね」
「しかし、大分ボロボロだな。お前さんさえ良ければ見栄え良くする位にまでしてやるよ」
「本当ですか?」
そろそろダメだと思ってたけど、観賞用として取っておくのも悪くないかも。折角頂いた大切な物だし、手放したくはなかった。
「ほら、これで見れるくらいにはなったろ?」
「わぁ…!ありがとうございます!大切な物だったから、手放したくなくて…」
「おう!大事にしてやれよ!」
そう言って優しく叔父様は剣を渡してくれたのである。この村は優しい人でいっぱいだ。
「おかえりー!」
「お疲れ様ー!」
何やら外から声が聞こえる。イレブンさんとエマさんが帰ってきたのだろう。私も取り敢えず行ってみるか。
「おかえり」
「ただいま、母さん」