第3章 ダーハルーネへ
「なんなんだって言われましても…」
私だってそんな事言われても困る。たしかにちょーっとおたくの兵士傷付けてしまいましたけれども、それ以外は悪い事はしていない。
「まあ良い。お前は俺の専属の側用人になって貰う」
「趣味悪…」
「お前な!!」
「いい歳したおじさんがまだ15の女の子を従えるって相当ヤバいですよ…」
「おじさんではない。まだ36だ」
「アラフォーです。認めて下さい」
最後のトドメだったのか、凄い具合に顔を歪めた。いやそんな目見られても仕方ないものは仕方ないですって。
「はぁ…まぁ良いですよ。捕まったのは自分の落ち度ですし、メイドでも側用人でもなんでもやってやりますよ」
「なんでお前が許可を出す形になってるんだ」
「良いんですか?合意の上でって言わないと後から国民に白い目で見られちゃいますよ」
「お前が心配するのはそこじゃないだろ」
というか何?このギャグみたいな会話。なんで捕まった身なのにこんな愉快な会話しちゃってるわけ?
「イレブンさん達も無事出港できた様ですし、さっさとデルカダールに連れてってくれません?早く寝たいです。あ、あと3食付きでよろしくお願いしますね」
「図々しいわ!」
まぁ図々しい位が丁度良いだろう。殺す気も危害を加える気もない様だし、取り敢えず安心してよさそうだ。
「ここにいても無駄だし、デルカダールへ戻る」
「はぁい…」
「船を出せ!」
「はっ!」
どこからともなく兵士の声が聞こえた。割と近くに控えてはいたんだろうな。
「行くぞ」
「ちょ、痛い!痛いです!レディはもう少し優しく!!」
「こんな図々しい奴にレディもクソもあるか!」
「軍人さんがクソなんて言うんじゃありません!!」
「お前は俺の母か!」
なんでこの人と話すとすぐにギャグに行くの…。おかしいな…そんなつもりはないのだけど…。
「船の牢屋にぶち込んでおけ」
「えーん」
「うるさい!嘘泣きするんじゃない!」
「レディを薄汚い牢屋にぶち込むなんて…」
「ちっ…」
ホメロス将軍は舌打ちをして、今度は私を巻き付けている縄を引っ張った。
「仕方ないか…俺の部屋に連れて行く。デルカダールに着くまでの監視付きだ。感謝しろ」
「何で監視されてるのに感謝しなければならないのですか!」
「あーもう分かったから。早く行くぞ」
待遇良さげな船旅になりそうです。