第1章 全ての始まり
「良いんですか?」
「ええ、それに、エマさんも魔法の素質がありそうですし」
「ま、魔法…?」
「はい。簡単な回復呪文なら今日の残りの時間でも覚えられそうです」
「やってみましょう!ね!イレブン!」
「うん」
案外乗り気で良かった。私も良くして頂いたし、出来ることはしてあげたい。
「まずはエマさんからですね。魔法はイメージが大切。例えば回復呪文であれば、相手を癒すイメージを持つ事が大切なんです」
「相手を、癒す…」
「そうです。まずはイメージを固めて、魔力を込めるところから始めましょう。心を落ち着けて、手に魔力を集中させるんです」
「わ、分かったわ…」
「コツを掴むまでに時間が必要なので…それまではっと…。イレブンさん、では剣の扱い方を少しだけお教え致しますね」
「はい」
剣の持ち方や初心者なら出来るはずもものも出来ていたので、後は少し応用を教えればすぐになんとでもなりそうである。
「基礎はきっちり出来ているので、ちょっとした応用を教えますね」
「応用、ですか?」
「ちょっと心配ですか?でも大丈夫ですよ。基礎をちゃんと物にしているイレブンさんなら出来るはずです」
敵に背後に回られた時の立ち回り方、逆に敵に隙がある時の攻撃の仕方、これを教えていく。
「因みに、隙がある時は十分に注意が必要です。態と隙を作った可能性もあるので、良く見極める力も大切ですよ」
「そう、なんですね。全然知らなかったです」
「戦いはやはり経験です。経験があれば、そこから知識を得る事だって出来るんですよ。でも、慣れはその分慢心を引き起こします。初心の今の気持ちがとっても大切なんですよ」
女で剣を扱う人はあまり多くない。力が足りない故に、別の部分で補う必要があるからだ。でも、私は魔法があるのでそれを掛け合わせて使う事でカバーしている。だけどイレブンさんは男だから、ピンチな時はパワーでゴリ押す事もできるだろう。
「ぶっちゃけると、力こそパワーです。どうにかしたい時に力さえあればなんとかする事もできます」
「力、ですか?」
「そうです。知識をつける事も必要ですが、それはおいおいで良いとして、やはり鍛える事でどうにかなる時もあります」
「やっぱり武器を扱うには力が必要って事ですね」
「そうです!強くなりたいのなら鍛える事をお勧めします」
「分かりました」
そろそろ剣術もいい感じだろう。