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愛を探しに【ドラクエ11】

第3章 ダーハルーネへ


そろりそろりとホメロスに近付く。軍人のくせに背後が疎かとは、情けない事だ。

「貴様ら!いつの間にこんなところにまで!チョロチョロと目障りな鼠どもめ!悪魔の子もろとも私1人で片付けてくれるわ!」

5人対1人ってなんとなく罪悪感が湧かないわけでもないが…兄を助ける為だ。此処は全力で行かせてもらう。

「皆!行くよ!」
「はい!」

デルカダールで仕入れたレイピアを使って戦闘に臨むことにした。もう見ているだけも、逃げることも、やめたの。

「薔薇十字!」

縦と横に一回転。剣の軌跡に薔薇が舞う。美しいけれど、棘がある、そんな技だ。

「ちっ…」
「これで…終わらせる!」

最大の隙を見せた所で、後ろから振りかぶってくるイレブンさんに最後の一撃を任せた。我ながら良い連携だったのではないかと思う。

「よし…!」
「今のうちに…」

兄を縛り付けている紐を切り裂いて助け出した。

「怪我はない?」
「ああ、大丈夫だ」

体制を立て直した所でホメロスと向き合う。あの程度ではかすり傷程度という事か。

「此処までだな」
「…あら?」

シルビアさんが当たりを見渡す。

「みんな〜!もう大丈夫よ!」

するといきなり海に飛び込んだ。ギョッとして思わず剣を持つ手を緩めてしまう。

「シルビアさん⁉︎」
「はは、ついに仲間に逃げられたか!」

高笑いする軍人に腹が立って仕方がないが、明らかに奇行がすぎる。

「え、えぇ…?」
「待って、みんな!あれを見て!」

ベロニカさんが指を刺した方向を見ると、豪華な船がやってきたのであった。

「あの船は…」
「シルビア様のものですわ!」
「なんともハデ〜な船だな…」
「さ、皆乗って頂戴!」

シルビアさんに言われて皆が次々に船へと乗り込む。最前線にいた私が一番最後に乗ることになり、急いで船に駆け寄る。

「エリー!」
「お、お兄ちゃん…」

一瞬躊躇ってしまった自分がいた。躊躇ってる場合じゃない事は分かっているのに。一瞬の間が出来てしまった。

「きゃっ…!」
「その女を連れて行け!」
「いやっ!お兄ちゃん!お兄ちゃん!」
「エリー!」

後ろから兵士に捕らえられ、ずるずると引きずられていく。

「おっさん!戻してくれ!あいつは!俺の大事な…!」
「いいの!早く行って!」

持てる限りの大声でそう叫んだ。
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