第3章 ダーハルーネへ
「あんたとこの子はどういう関係なの?」
「イレブンさんがイシの村を出る時に、デルカダール王に謁見するまで付き添ったんです。イシの村に尋ねたい人がいたので、それに飢餓状態の所を助けて頂いて…そのお礼に」
「そうだったのね〜!なかなか腕が立つように見えたけど、戦闘経験は豊富のようね!」
「い、いえ…そんな事は…旅をする上で必要だっただけで…」
「確かに、矢を射った時もかなり正確な位置に撃てていたわ。腕は自慢していいわよ」
小さい魔道士さんかと思ったが中身は思ったよりも大人な様子。小人族とかそんな感じなのかな。
「さて、カミュちゃんを助けないとね」
「お兄ちゃんは…大丈夫でしょうか…」
「お兄様?」
「シエラはカミュの妹なんだ」
「道理で髪や目の色がそっくりなわけだわ」
確かに私達家族は皆似たような髪色や目をしている。空色の髪に空色の目。私が昔から大好きな色だった。
「私、弓や剣、棍なら扱えます。お兄ちゃんを助けるためなら、好きな様にこき使って下さい」
「仲が良いのねぇ」
「えへへ…」
そうは言っても5年はご無沙汰だった訳だけれども。
「5人いれば何とかなるわよ。さ、カミュちゃんを助けにいっくわよ〜!」
シルビアさんの掛け声に小声で反応しながらも、周囲の兵士に警戒しながら兄の救出作戦を決行することにした。正面突破は些か部が悪いので、ぐるっと回り込んでしれっと救出する予定である。
「しかし、こんな可愛い妹ちゃんがいるだなんて、知らなかったわん」
「そ、そんなことないです…同い年の女の子達に比べれば全然自分磨きをしていませんし…」
「そうは言ってもお肌はとってもお綺麗ですわ。大事に手入れしていらっしゃるのがわかりますよ」
この方はセーニャさんと言うらしい。とても優しそうな性格で、回復呪文のスペシャリストらしい。私のちゃっちい回復呪文よりもすごい呪文が飛び出すのだ。
「さて、そろそろ着くわ。静かに回り込んで、カミュちゃんを救出しましょ」
「うん」
皆で船から降りて、そっと後方からステージを伺う。
「まだ見つからないのか、この役立たずどもめ!こんなザコの見張りなど私ひとりで良いから、もう一度悪魔の子を探してこい!」
「皆、チャンスよ!今のうちにあの軍人ちゃんを倒してカミュちゃんを助けましょ♡」
シルビアさんが囁いたと同時に作戦が始まった。