第3章 ダーハルーネへ
此処で足手纏いになってるような自分なら、これからの旅でもきっと同じようなことが起こるだろう。そんな迷惑はかけたくない。
「何言ってんだ!」
「このチャンスを逃したら、皆捕まっちゃう!」
「けど…!」
「行きましょうカミュちゃん」
「なっ…」
シルビアさんの選択が正解だ。皆捕まるよりかは、私1人が捕まった方が大分いい。必要な犠牲だと思えばなんて事ない。
「早く行って!!このままだと皆捕まっちゃうよ!」
兄もどうしようもなく口をつぐんでいた。私がグズなせいで、また兄に迷惑をかけてしまった。マヤお姉ちゃんの事でただでさえ心に傷を負っているのに。
「さて、どう料理するかな」
嫌な目でホメロスが見つめた。私はじっと睨み返す。
「お前達は出て行け。この女の処分は、俺が決める」
「はっ!」
ぞろぞろと兵士が出ていき、私とホメロスだけになった。
「何をするつもりですか」
「本当は怖いのに強がるふりをするな」
「怖くなんて…ありません」
「ははっ…そうか」
嘘。本当ははちゃめちゃに怖い。だって軍人とほぼなんもできない旅人1人。結果は目に見えてる。
「そうだな…体付きはまだまだ発展途上だが、顔は悪くない」
「変態」
「うるさい。自分がどう言う立場か分かってないのか?」
「だって私…悪い事してません…」
正直に言っただけなのだが、凄く大笑いされてしまった。
「馬鹿正直に言う奴は、お前が初めてだ」
「分かってるじゃありませんか。本当は悪魔の子なんていないって事」
「…」
「別に、あなたに言ったってどうしようもない事は分かっていますけどね」
「そうだな。ただの…一国の兵士だ」
「そういう意味ではありませんわ。貴方は王に口出し出来ない状態にある。兵と王という関係では…ありませんよね」
「察しがいいな」
やはりそうだ。どこかおかしいと思った。あそこまで兵が王に盲信するのは…どこか違うような気がするからだ。頭でどこか間違っていると分かっているのに、できない状態にある。
「貴方の目的は何ですか」
「お前を人質にして、勇者を倒す事だ。これで十分か、小娘」
「小娘って…私にはシエラという名前があります」
「呼ぶと思うか?俺が」
「思いませんけど…」
なんなんだろう…この時間。私も自分が自分で何喋ってるのか分からなくなってきた。
「なんなんだお前は…」