【ヘタリア】魔法少女×枢軸×連合=カオス【APH】
第5章 魔法よりも拳を使うことが多いのは気のせいです
振り返ると、ギルとフランシスがいた。
ギルがフランシスを後ろから羽交い締めにしている。
しかも、両脇の下から腕を入れ、肩をガッチリおさえている。
フランシスは両手が使えなくなっていた。
びっくりしつつフランシスは、急にひきつった笑みで、焦りをにじませ始める。
「え~、ちょ、ちょっとなにコレ?」
「ドイツ国民全員、スカートめくられたんだってな?」
ギルの言葉に、私は無言のまま、厳かに頷いた。
「じゃあ……このまま引き下がれねぇよなあ?」
またも、私は沈黙のまま、ゆっくりと頷いた。
「っし! やれ! やるんだ! 俺に構わずやれ!」
そのつもりだ。
「なにを!? 待ってお兄さん武闘派じゃないから! 防御力そんなないから!」
じたばたとフランシスが暴れだす。
しかしギルの拘束は硬く、そう簡単には振りほどけない。
私は確固とした足取りで、徐々に二人に近づいていく。
ギルは、フランシスの巻き添えになるつもりは、さらさらないのだろう。
自分は強いから大丈夫、そう思っているのだろう。
だからこそ、「俺に構わず」なんてわざわざアピールしたのだろう。
だが彼は気づいていない。
「やれ! 躊躇わずやるんだドイツ国民全員!」
「やめて! でも――これはこれでイイかもぉっ!」
――うしろが、壁だということに。
「成敗っ!!」
渾身の力で鳩尾にパンチをぶちこむ――ついでにギルを壁に叩きつけるように。
「「ぐふっ……」」
鈍い嗚咽、ドン、という衝突音。
そのまま二人は仲良く、ずるずると背中で壁をひきずり、床に倒れた。
なんとも言えない静寂が満ちる。
それを破ったのは、最も意外な人物――
「幼女に殴られるなんて、悪役として本望じゃないですか!」
本田菊、その人だった。
「歪みないな! 少しは歪めよ!」
「あぁ羨ましい、ドイツ国民全員さん、恐れ入りますが何卒、私にも一発」
「あぁもう意味わかんない! 菊は味方じゃなかったっけ!?」
「もちろん、ウッフ、味方ですからバイキルト的な意味で一発頂けるでしょうか!」
「怖い! 怖いよマジで!! 近寄らないで!!」
「大丈夫です、なにも怖がることはありません、さぁこちらへいらっしゃい……」
「ちょ、近寄らな――いやああああぁぁぁあぁぁぁああああぁあ!」