第9章 桃色の砂浜
吸い寄せられるように顔を寄せると
レナの瞳がコチラを捉えた。
……いつの間に くろいまなざし を
使えるようになったのか、と聞きたい。
目が離せない。
「ゲンガー、ありがとう」
「ゲガ……っ」
何の感謝かも分からないうちに
レナの柔らかな唇が俺にぶつかる。
ふにり、とした感触がして、
改めて人間の柔らかさを感じた。
ああ、だめだ。もう行くアテもない。
頭もあの果実にやられてスッカリ
とろとろになっていく。
何も考えられずにその場に腰をおろし、
おとなしくその空気にのまれて
レナにすり寄って甘える事にした。
優しい手のひらが俺を撫でてくれる。
心地いい……ずっとこうしていたい。
「ゲンガー、大好きだよ」
「ゲゲゲ」
俺だって、そうだよ。
育った場所よりアンタを選ぶくらい
俺は……俺もレナが…………