第9章 桃色の砂浜
レナが口にしている果実に
反対側からかぶりついた。
美味い、というより甘くて水っぽい。
「ん、おいひい……」
なぜか食べる手が止まらず
そのまま果実をかじりあっていく。
果汁が滴る喉元をべろり、
と舐めあげハッとする。
怒られる、と思ったがレナは
ポヤッとした顔でこちらを見るばかりだ。
じ、と見つめあっているとレナが
腕を伸ばし、俺の頬に手をあてると、
ぺろぺろと口元についた果汁を舐めた。
思わず固まっているも、
レナに気にする素振りはない。
「これ……美味しいね」
「ゲ……」
ふにゃ、とわらった顔に
妙に気持ちがザワザワする。
しかしふと思い至った、この実だ!
コイツがこのビーチを妙な空気に
している元凶にちがいない……!