第6章 物語の終わりはハッピーエンドで
「今たすけてくれたのに?」
こんなに穏やかに笑う
レナさんを私は初めて見た。
悪いゲンガーだって思ってたのに、
二人にあるのはどう見ても信頼だ。
「……ポケモントレーナーみたい」
「ゲンガーは私のポケモンじゃ
ないんだけれどね。本当にありがとう」
撫でられたゲンガーはといえば
何を考えているか分からない
ニンマリ顔でひとつ身震いすると鳴いた。
私には、ゲンガーが何を感じていて本当に
危なくないかなんて見ても分からない。
けどレナさんの顔をみれば、
疑いようもなくそうなんだって思えた。
急に心細くなって通信カメラを握りしめる。
いいな、レナさんはみんなに信頼されてて
私だって……そうなりたいのに。
「ずるいなぁ……」
「えっ……リタちゃん?
……ゲンガーに触りたかった……?」
「ちがいますよっ!もう!しらない!
魚もとれたし帰りましょ!」