第6章 物語の終わりはハッピーエンドで
前に、
"ずっとここに居られたら良いのに"
と言ってたのは研究員になりたい
という意味なのだろうか。
博士と居られる休暇が、
くらいの感覚で捉えていたけれど。
「ねえ、リタちゃんって
将来の夢とかあったりするの?
ポケモントレーナーとか研究員とか」
「んー……」
釣竿片手に自然公園の水辺を散策する。
快活なリタにしては珍しく
答えを迷っているようだった。
「分からないの、でもフロレオ島は好き。
だから、この島に居たい……かな?」
「そう……色んな事をしてみたら良いわ。
私はやりたい事がないタイプだったけど
今はライターを楽しんでるし」
リタは曖昧に笑って何も応えない。
会話には"コンプレックス指標"という
相手がこの話題に苦手意識があるか
分かる方法がある。
リタは話を振られて長い沈黙を置いた。
この沈黙があり、長い程いやな話題だ。
答えにくい話だと言える。