第3章 お近づきになりたい
瞬間、頭を突きだしたゲンガーは大きな舌で
気づかないグレッグルの背中を舐め上げた。
突然のことに跳び上がるグレッグルをよそに
ゲンガーはゲラゲラと大口を開けて笑い、
グレッグルの一生懸命なパンチを
さっさと影に引っ込んで避けてしまう。
「……!」
なんてゲンガーらしい最高のショットを
撮ってしまったのだろうかと震える。
グレッグルには少しばかり気の毒だが、
イタズラ好きで可愛らしい
ゲンガーの魅力が存分に出ている。
多分、エサを取っていったのも
あのゲンガーだろう。
からかう為に戻ってきたのだ。
影はまだ残っていて、
グレッグルが悔しそうにこちらをみて
地団駄する後ろで頭を突き出し舌を出す。
ゲンガーが人気とは聞いていたが、
確かにこれはハマってしまうのも分かる。
グレッグルをなだめようと
喉元に手をやりくすぐってやると
少しして落ち着いてきた。
触らないように触らないように、
と思っていたのだけれど……
まあ特になんともないし大丈夫だろう。