第3章 お近づきになりたい
しばらく見ていたものの
ゲンガーが出てくる様子がないので
カレー作りに戻ることにした。
カメラはすぐ構えられるように
ストラップをつけて首から下げておく。
このカレーは私の夕食でもあるのだ。
作らずに出てくるまで粘る訳にもいかない。
グレッグルはと言えばゲンガーが
出てくるのをまだ待っているのか
いつものように鳴かずに警戒している。
ガラル仕込みの大鍋でカレーを煮込みだす。
煮ているだけでも立ち上る辛みのある湯気が
目に染みるもののコレが美味しい証なのだ。
グレッグルもついにカレーに興味を示し
火や鍋を眺めて辺りをうろちょろしだした。
火が良い感じになったら後は体力との戦い、
木の実で粘りが出るので焦がさないように
一気に強く混ぜなければならない。
熱い!目が痛い!しんどい……!
えん、と泣きながらカレーを作っていると
ふと熱さが和らいだ。
不思議に思って顔をあげるとすぐ近くに
ゲンガーがいるではないか!
だが今手を放せば確実にカレーは焦げる。
悔しい……!辛みと悔しさに泣く。