第3章 お近づきになりたい
ハナレ洞窟に到着し、
まず足場と安全そうなルートの確認。
見れば前回の調査でゲンガーを追いかけ
倒けつ転びつ走り抜けた足跡が
未だに残っていた。
「これは……こうもりポケモンね」
近くを這うバチュルたちを見れば
決まった場所や壁を移動している。
バチュルたちが通らない場所には
こうもりポケモンたちのフンが
積もっているのだった。
先日滑落しなかったのは運が良かった。
一歩間違えたら滑り落ちて鍾乳石に
串刺しにされていたかもしれない。
背筋がヒヤっとし、身震いする。
恐怖からか洞窟の入り口だからか
なんだか体が冷えてきた。
早く昨日キャンプした地点に移動しよう。
足早にしかし確実に洞窟を進む
レナの影が背後に怪しく揺らめいたが
彼女が気づく事はなかった。