第13章 表裏一体(下)
『ねえゲンガー、
聞きたい事が……たくさんあるの』
『……それは俺もだ』
ぼんやりとした不安の形を確かめ合う。
すこし違うものの、
同じ事を考えているんだろう。
『ゲンガーの声がした』
『俺はレナを見た』
間があり、互いを見て笑いだす。
同じ絶望と不安、同じ答え。
それは自分たちが持っていた不安が
弾けてこの白さに溶けていくような。
『そっか……』
『話ができるって良いな』
『そうだね、言わなくても知ってるのに
やっぱり分からなくなるんだね……』
互いのああ思った、こう感じた、
が音もなく少しずつ降ってきては
自分たちに積み重なるような。
不思議な感覚に耳をすませていた。
1つも聞きもらしたくなくて、
小声で秘密の話をするように。