第13章 表裏一体(下)
遠く、穏やかな歌がきこえる。
子守唄のようなそれに目を開けた。
白い空間、俺は膝枕されている。
誰に?
白いシルエットに手を伸ばすと
柔らかな笑い声が響いた。
『おはよう、ゲンガー』
『……レナ?俺は……』
『洞窟でスッカリ弱ってて……
……ずっと何も食べてなかったの?』
妙に感覚がフワフワしている。
夢、にしては意識がハッキリしてるし、
なによりレナの顔が分からねえ。
洞窟……、思い出そうとすると
明らかに俺を"俺が"見ている記憶がある。
『……?……!』
『あのゲンガー、知ってたんだね。
どうしてあんな事……』
『アイツ……!アイツ……?
ゲンガーがゲンガーを食べる、
なんて聞いた事ねえけどな……』
ふと、言ってない事が伝わった事に
レナ(らしい白いやつ)を見る。
会話が成り立っている、というか、
それ以上の意志疎通をしてる気がする。