第13章 表裏一体(下)
「博士ぇ!」
「レナ……くん!!?うわ!
まって!出ておいで、ムーランド!」
なんとか博士の元まで逃げ戻るが、
弱ったゲンガーの近くにいたもう一匹の
ゲンガーに追いかけられていた。
「ゲン……!」
「ワォーン!」
ムーランドが太く鳴くとゲンガーから
私を庇うように躍り出た。
どうにか加勢したいが、
私はトレーナーではない。
手持ちは瀕死のゲンガー1匹だ。
「レナ、早くコッチへ!
……ムーランド、"噛みつく"だ!」
「オン!」
しかしゲンガーがいち速く察知し
影の中へと飛び込んだ。
攻撃を空ぶったもののバトル慣れした
ムーランドは直ぐ様あたりを警戒する。