第13章 表裏一体(下)
頬がぬれ、泣いていると気づく。
……そんな場合じゃない、
このクソみたいな悪夢をどうにかしないと。
レナはいない!ここには来ないんだ!
「も、戻って!ゲンガー!」
バクン、とボールに飲まれてハッとする。
本物のレナがここに居るのか。
じゃあ片方はなんだったんだ……?
ボールが乱暴に拾われ
手のひらで視界がいっぱいになる。
俺は何も見えないことに安堵していた。
レナが何か喚いている。
どうしたんだ、何があった。
俺が助けてやらないと……
その思いとは裏腹に
意識は薄らいでいくのだった。