第13章 表裏一体(下)
「ゲンガー!!!」
レナの鋭い声、衝撃。
訳も分からず再び地面に転がる。
顔をあげるとレナが二人いる。
…………二人、いる。
ゾッと不快感が背中を這い上がる。
なにが起こった?いや、本当は
俺が一番よく知っている筈だ。
"これ" はレナじゃない、ゲンガーだ。
ゲンガー……、ゲンガーだとして……
コイツは誰でなんなんだ……?
俺が俺を殺そうとしてるのか?
「ゲンガー……!だ、大丈夫!?
一体どうしたの……っ?」
「ゲンガー……?
どうしたの、……早く行こう?」
心臓がわし掴みにされたように五月蝿い。
……どっちだ、レナはどっちだ……?
本当に片方は本物なのか?ぜんぶ俺が
助かりたくて見てる幻覚なんじゃないか?