第13章 表裏一体(下)
あれから何日経ったのか
"何"と居ても強い絶望があった。
満たされない飢え、動かない食指。
孤独なポケモンを見ても
口にしようとは思わなかった。
食べた所で腹はきっと埋まらない。
優しさだとか慈しみではない、
自分以外もそうやって不安でいれば
この感覚が和らぐ気がしたんだ。
全くそんな事はなかったが。
いつからか他のポケモンもゲンガーも
何もかもどうでもよくなった。
シクシク痛む絶望感を抑えて踞り
じっと時が過ぎるのを待っている。
「ゲンガー」
顔をあげる。姿はどこにもない。
とうとう幻聴までしてきた訳か。
頭を抱え、消えろと呻く事しかできない。