第5章 夢の行方
伏黒の手の中のガラス玉が淡く光を放つ。鈴が近くにいる証拠だった。
建物内に居ないとなると残りは屋外。呪符ぐるぐる巻き呪詛師は気を失わせた後、気は進まないが五条と合流せねばと玄関ドアを開ける。
ちょうど五条は迎えにきた車に鈴を乗せる所だった。
「蓮見は大丈夫なんですか?」
「たいした怪我じゃなさそうだけど、一応硝子にすぐ診てもらうよ」
駆け寄った伏黒に一瞬だけ見えた鈴の頬は赤く腫れ、口の端に血がついていた。誰かに殴られたのは明確で、体中を怒りが駆け巡る。
あのぐるぐる巻きの呪詛師か、もしくは屋外の血まみれの奴らか。どちらにせよ、ボコボコにしない理由がみつからない。
その後、伊知地が現場に駆けつけた時には、呪詛師たちは無造作にひと塊りに積み重ねられていた。雑に扱われたのは明白で悲鳴にも似たうめき声が聞こえる。
そんな呪詛師の有様を見て、不覚にも同情した。
「さすがにやり過ぎでは?」
「僕だけじゃないよ。ねぇ恵?」
「……当然の報いでしょ」
伏黒は本心でそう吐き捨てた。