第5章 夢の行方
翌日も鈴は医務室のベッドにいた。
昨日目覚めた後、五条先生に軽く叱られてデコピンされて、新田さんにはすごく心配されて、その後は真希さんたちがお見舞いにきてくれたけど、うるさいと家入さんに注意されてすぐに帰ってしまった。
今朝も頭痛がひどく、頬がひりひりする。
取り急いだ用事はないから寝ていていいと言われているけど、そうもいかない。
(勉強は今日はできそうにないかな。もう少し楽になったら散歩にでも行こう。…今日は誰か来てくれるかな)
真希さんたちはまた明日、と言って帰ったから今日も任務が終われば来てくれるかもしれない。
あと会ってないのは伏黒くんぐらいだけれど。
(来てくれるわけないか……)
昨日の伏黒とのことを思い出すと、胸がズキズキ痛くなって、頭痛もひどくなる。
ここに残るかどうか決めなきゃいけないのに。
本当は残りたい。呪術師になれるかどうかなんてわからないけど、呪いで困っている人がいるのなら助けたいし、自分のような目に遭ってしまう人をなくしたい。
でも同時に伏黒の言葉を思い出してしまう。
"蓮見にできることは何もない"
自分の無力さがいやになる。
彼とは生きる世界が違うのだろうか。