第4章 呪術高専①
やたら適応能力が高いのか、普通にパンダと会話する鈴を伏黒は遠巻きから見ていた。
初対面の狗巻ともなぜか疎通が図れていたし、順応性が半端ない。
「…蓮見、五条先生が呼んでる」
「恵か、お前ら同級生なんだって?また後で話そうな」
パンダは毛むくじゃらな手で鈴の頭をわしわし撫でた。
もふもふの肌触りは人の手とは思えない。よく出来た着ぐるみだなと感心する。
「伏黒くん、あの人ずっと着ぐるみ着てるの?」
「は?」
「だから、さっきのパンダの着ぐるみの人。あれ着てないと呪霊に襲われたりしちゃうの?」
伏黒は言葉に詰まる。感性が新鮮過ぎてなんて言ったらいいかわからない。このままじゃまた鈴のペースに巻き込まれる。
「いや、パンダさんは着ぐるみじゃなくてパンダだ」
「え?」
狐につままれたような鈴の顔。
伏黒の中にもどこまで詳しい話をしていいか葛藤はあった。だってその内鈴はここを出ていくかもしれない。
(パンダは本当にパンダで、パンダ??)
鈴の頭の中はすっかりパンダであふれる。
彼女が突然変異呪骸のことを学ぶのは少し後のこと。