第4章 呪術高専①
「おい、かいわれ…、鈴。イカ焼きは食えるか?」
「イカ?食べれますけど」
「よし、ついて来い」
背筋をピンと張った真希の後ろについていく。歩くのが早く、ちょっと油断したら置いていかれそうだ。
(そういえば伏黒くんはどこに行ったんだろう?)
玉犬が近くにいるから、伏黒くんも遠くには行っていないはず。だけど姿が見えなくなって不安になる。
イカ焼きの露店を見つけた真希にくっついて、鈴も列に並んだ。ほぼ初対面の真希とどんな会話をしたらいいのかわからない。
「お前さ、恵のこと好きなんだろ?」
急にくるりと振り返った真希に問われ、鈴は雷に打たれたような衝撃を受けた。
「えええ!?禪院さん、超能力者ですか!?」
「そんなわけないだろ。あと、私を苗字で呼ぶな。
ったく、お前全部顔に出てるぞ?恵が気づいてないのが奇跡だと思うけどな」
鈴は呆然と立ち尽くした。完全にすっとぼけるチャンスを失った。
「や、だって、伏黒くん、カッコよくて誰にでも優しいですし!!」
「そうか?」
誰にでもは間違いだろと思いながら露店で買ったイカ焼きを鈴に手渡す。
「でも、私そんなに顔に出てますか…?」
「出てるよ」
竹を割ったような性格の真希にはっきり指摘され赤くなった顔に左手を当てる。伏黒くんが戻って来る前にちゃんと顔の火照りを冷ましとかなきゃ。
「真希さん?」
「いやぁぁぁ!」
背後から伏黒の声が聞こえて、鈴は真希に飛びついた。
「……何かあったんですか?」
伏黒は鈴の挙動不審な行動に困惑していた。それにさっきまで真希とこんな距離感じゃなかったはずなのに。
「いや?別になーんもねぇよ。なぁ?」
鈴は真希にしがみついたまま、こくこくと頷いた。