第4章 呪術高専①
かくかくしかじかで、と伊知地と真希に説明すると、人がいい伊知地はそれなりに納得してくれた。お前が連れ込んだことに間違いねぇじゃん、と真希には白い目を向けられたが。
それに伊知地から衝撃の事実を伝えられた。
「医務室は施錠されていませんでしたよ?新田さんが早朝まで仮眠してましたから」
次に五条に会ったら全力で殴ろうと心に決めた。あの無下限術式なんとか無効化できないだろうか。
「本当にごめんなさい……」
真新しいメガネをかけた鈴は元々小柄な体をさらに縮こまらせて反省していた。
伏黒くんの部屋に上がり込んだ挙句、ベッドを占領して朝まで眠ってしまうなんて。あまりの失態がショック過ぎる。
「いや、別にいいんだ」
鈴にとってその言葉はぐさっと突き刺さった。
やっぱり私のことはなんとも思ってないんだと実感してしまった。あのマラソン大会の時のように。
シュンとさらに落ち込んでしまったような鈴を見て、伏黒は内心慌てていた。気を使わせないように言った言葉でなぜ落ち込ませてしまうんだろう。
「まあまあ、そういえば皆さん初詣は行きました?近くの神社、露店も出て賑わっていましたよ」
「へー、行ってみるか」
微妙な雰囲気に困ったのか伊知地は初詣を勧めてきた。他人がいない方がいつも残業が常の補助監督の仕事ははかどるだろう。
しかし、鈴にとって神社までの道のりは苦難の連続になることを、誰も予想していなかった。