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君のガラス玉越しに【呪術廻戦】

第4章 呪術高専①



 大晦日も真希の自主トレが休みのはずはない。百鬼夜行で重傷を負ったはずだが、家入の治療でそれも癒えて、彼女は必死に強くなろうともがいているようだった。
 正直自分はそこまでボルテージが上がりきらない。原因はあの小柄な同級生のせいだとわかっているが、自分でも見て見ぬふりをしている。


「あー、恵じゃ物足りねぇ!」
(悪かったな…)「じゃあ他当たってくださいよ…」

「生意気だな、お前は」
 コン、と大太刀で頭を小突かれる。地味に痛い。

 午前中たっぷり付き合うと、やっと真希も正月ぐらいゆっくりするかという気分になったらしく、今日はこれでお開きになった。


 読みかけの本もあるし、今日は医務室には行っていない。蓮見は今日は起きているだろうかなどと考えながら、玉犬(白・黒)と寮の部屋に戻る途中、前を歩いていた白がコースを外れてどこかへ駆け出した。
 呪霊か?まさか高専の中で、と追いかけて行く。入り組んだ廊下の角を2回ほど曲がると、鈴が白をよしよしと愛でていた。




(……玉犬が見えてる?)
 玉犬は式神だ。呪力が少ない人間にはまず見えない。

(事件のせいか?)
 あの現場には強い残穢があった。その影響だろうか。


「伏黒くんのペット?」
 鈴は見にくそうに目を細めながら聞いてきた。そういえばメガネがない。

「ペットじゃない。玉犬は式神だ」
「しきがみ?伏黒くんも呪術師って人なんだってね」

 ペットじゃないと言っても鈴が玉犬を撫でる手を休めることはなかった。白なんかは鈴の膝に頭を完全に預けて、目を閉じて至福の表情。まるで本物のペットみたいだ。


 
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