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君のガラス玉越しに【呪術廻戦】

第4章 呪術高専①



 鈴は動物好きだ。猫カフェに月1で通うぐらい猫が好き。だけど犬はもっと好き。ずっと昔、まだ施設にも行く前に白い大型の犬を飼っていた記憶がある。まだ小さかった自分を背に乗せて遊んでくれた。
 足元の犬はその犬によく似ている気がした。


「よしよし」
 しゃがんで犬の首元をわしわし撫でる。毛並みがきれいでふわふわしている。犬は気持ち良さそうに鈴に身を任せて、頭を膝の上に寄せてきた。

「ワンちゃん、かわいいね。お家の人はだあれ?」
 首輪はしていないが、この人懐こい身綺麗な犬は野良には見えない。もしかして、この学校の犬なのかなとぼんやり思う。


「玉犬?」
 その声に顔を上げてもぼやけて見えないが、声とシルエットで誰かはすぐわかった。忘れるはずもない、私の好きな人。

「もしかして伏黒くんがこの子の飼い主?」
「いや、飼い主というか……」

 伏黒は言葉を濁す。五条から一体どこまで聞いたのだろう。
 迷っていると、傍にいた玉犬・黒まで鈴のそばに寄って行った。

「わぁ!黒いワンちゃんもいたの?双子??」
 鈴は目を丸くしながら、黒の方もなでなでし始めた。
 今までの傷ついた姿を見ていたから、久しぶりに楽しそうな様子を見て少しホッとしたのも束の間、伏黒は違和感に気づく。


(……玉犬が見えてる?)



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