第3章 不平等な現実
和やかなもぐもぐタイム中。やべぇ、報告忘れてたッスと慌てて新田が書類を取り出した。
五条に頼まれて新田が調べていたのは蓮見家、及び鈴の素性の調査である。
「結論から言うと、蓮見夫婦は呪術師の家系ではなかったッス。それにご夫婦はもう調べる必要もないと思うッス」
「んー?根拠は?」
それが、と新田が声をひそめる。
「…鈴ちゃんはご夫婦の実子ではないッス。6歳の時に特別養子縁組をされていて、引き取られるまでは山梨県の児童福祉施設にいたみたいですが、それ以上遡って調査することはできなかったッス」
「養子かぁ〜。八方塞がりかな〜」
五条は天井を見上げて顔を覆った。
「6歳なら本人がある程度覚えてるんじゃないか?デリケートな問題だけど」
家入がそう言ったところで、ドアが開き真希と伏黒が入ってきた。
「おかえり〜。早かったじゃん。
恵、このポッキーどこで買ったの?めっちゃ美味しいんだけど」
「なんで五条先生が食べてんすか…」
「パンダも棘も、寄り道する奴がいねぇからな。ほら、土産だよ」
「真希、気が利くじゃん!ここのシュークリーム、高いけど美味しいよね」
「言い出しっぺは恵だよ。悟の金だしな」
「みんな、僕に感謝したまえ」
伏黒がシュークリームを皿の上に取り出していると、鈴がシャワーからさっぱりした顔で上がってきた。新田が買ってきたラベンダー色のふわもこ部屋着がよく似合う。
「シャワー、ありがとうございました!」
頭を拭きながらお礼を言う。なんかさっきより人数が増えてると思った。見たことない、メガネをかけたポニーテールの女の人。その隣に伏黒がいる。
(……伏黒くんが、いる…)