第3章 不平等な現実
呪詛師夏油傑による百鬼夜行は失敗に終わった。
呪術高専1年乙骨憂太は特級過呪怨霊、折本里香の解呪に成功。
百鬼夜行による負傷者は呪術高専内部の家入硝子の所へと運び込まれる。
その日、伏黒恵は他の呪術師と一緒に新宿のバックアップにあたっていた。相手にしたのは低級呪霊ばかりで大した怪我もなく、高専に戻ってからは家入を手伝っていた。
「君、明日学校なんでしょ?もう手伝わなくていいよ」
「いいです。どうせ終業式だけだし」
明後日からは冬休みに突入だ。別に終業式ぐらい行かなくてもいいと伏黒は考えていた。
「やあ、皆無事?」
治療は順調に進み人も減ってきたタイミングで、冷やかしに来たのかと思うぐらい、軽い感じで五条が入ってきた。
「硝子、憂太はどう?」
「最初の方に治療したから、もう部屋に戻って休んでるよ」
乙骨はパンダや狗巻に付き添われて部屋に戻った。命に別状はなかったし、里香を解呪できたことで何より穏やかな顔をしていた。
「とりあえず憂太は一件落着だなぁ。今度は鈴ちゃんの方だねぇ」
(……は?)
「例の、特級呪物の子?」
「そうなんだよ、素性がなかなかわからなくてさー。アレ持ってて、何で普通に暮らせれてるのかなー」
耳を疑った。ナンパするぐらい五条が鈴を気にかけたのは。
「………それ、もしかして蓮見のことですか?」
「うん、そうだよー。言ってなかったっけ?」
伏黒は思わず拳を振り上げた。無下限術式のおかげで届かなかったけど。