第2章 出会い
(………は?)
その光景に驚いたのは田辺だけでなく、伏黒も同じで。
しかも周りにいた田辺たちクラスメイトは、おろおろしながら逃げるようにその場を離れていく。
(何でこいつ泣いてんだよ…)
「蓮見…、あのさ…」
なんとかなだめようとしていたら、鈴の親友たちがやってきた。
「いたいた。
…あー!!あんた鈴に何したの!?」
まさかの光景に帆花は激昂した。伏黒に可愛い鈴が泣かされている。
何したって、そんなの俺が聞きたい。ますます面倒なことになってきた。
「鈴どうしたの?伏黒にひどいことされたの?」
(するわけないだろうが)
絵里奈の優しい問いかけにうさぎみたいに目を真っ赤にした鈴はやっと口を開いた。
「えりちゃん…、な、なんでもないの……」
「なんでもなかったら、泣いたりしないでしょ!ちょっと伏黒!謝んなさいよ!!」
(何でだよ…)
伏黒に怒りをぶつける帆花。鈴はひっくひっくと涙を堪えながら声を絞り出す。
「伏黒くんは悪くないの…。ごめんなさい…」
それだけ言うと彼女は涙を拭いながら反対方向にタタッと駆けて行った。
なぜだかその日は鈴の泣き顔が、ずっと頭から離れなかった。