第2章 出会い
夏休みが終われば、あっという間に秋がきた。
二学期が始まって、少しだけ伏黒くんと話すことが増えた。会話が続くようになって、伏黒くんの表情もちょっとだけ豊かになった気がする。嬉しくて、勉強もはかどるからか成績も上がってきた。
もしかして、このまま仲良くなれば連絡先とか聞いたりできるだろうか。東京と埼玉だもん。特急に乗って東京に通学する子とかもいるよね。
「私、東京の高校に変えようかな…」
「もー、鈴やめときなって。どうせ伏黒目当てでしょ」
「そっ、そんなことは…」
(バレバレだっつーの)
帆花の指摘に鈴は慌てて否定した。
本人はうまく隠せていると思っているかもしれないが、伏黒に好意があるのは伏黒以外のクラス全員が気づいている。だって全部顔に出てるから。
「大体さ、伏黒の志望校は宗教系の学校なんでしょ?先生が残念がってたよ。あいつ内申点はともかく頭はいいからさ、進学校でも全然いけるのにって」
「そうなんだ…」
(宗教系ってどんな学校だろ?カトリックとか?そういや聖書の授業がある学校とかあるみたいだし…)
「東京に遊びに行ったら会えるかなぁ…。ほのちゃんも原宿とか一緒に行こうね!」
「はいはい。まずは高校合格してからね」
「うん!」
伏黒くんに会えるのなら、勉強も頑張ろうって思えるの。