第2章 出会い
「あー、いたいた。恵ー」
何やってんの、と長身のサングラスをかけた人が近づいてきた。遠目からみても、イケメンだって言うのがわかる。
(恵って呼んだ?お兄さんかな?)
「んー?恵の友達?」
「こんにちは。伏黒くんのお兄さんですか?」
「僕?違うよ。んーと、強いて言えば後見人みたいなもんかな。
あれ?君…、んんー???」
五条はサングラス越しにすごい目力でじーーっと見つめてくる。群青色の瞳は宝石みたいにきれいでクラクラしそう。
「すっごい可愛いね!君、名前は?」
「蓮見、鈴です」
蓮見ねぇ…、と五条は顎に手を当て何か考えている。伏黒からはただのナンパ師にしか見えないが。
「鈴ちゃん、ちょっとお茶でもどう?」
「だから、何ナンパしてんすか…」
五条が女子中学生をナンパしている図は、伏黒を十分ドン引きさせるものだった。
呪術師以外の女性と絡んでいるところはあまり見ないが、まさかロリコンだったのだろうか。
「お茶?」
急にナンパみたいなことをされて、鈴は戸惑う。伏黒くんの知り合いだから変な人ではないと思いたいけど。
「あらあら、鈴ここに居たの?」
探したのよ、とちょうどのタイミングで母が駆け寄ってきた。
「あ、お母さん、クラスメイトの伏黒くんと後見人さんだよ」
「まぁ、あなたが伏黒くんね。いつも娘と仲良くしてくれてありがとう」
鈴の母は微笑む。中年の優しそうな人だった。