• テキストサイズ

君のガラス玉越しに【呪術廻戦】

第2章 出会い



 中3に上がって間もなく、津美紀が呪われた。
 何も分からないということだけが分かって、津美紀は寝たきりになった。


(バカ姉貴…)

 伏黒が見舞おうが悪態をつこうが、彼女が目を覚ますことはない。呪いが解けない限り。

「恵、先生の話があるからそろそろ行かないと」

 ドアのそばにいた五条が声をかけると、伏黒は無言で椅子から立ち上がった。
 見舞いに五条が同行したのは、弟とはいえ未成年の伏黒だけでは病状の説明ができないからだ。
 どうせ医学的には異常はないと言われるだけ。医者の説明に興味はない。ナースステーションでキャーキャー騒がれる五条をよそにロビーに向かった。


 津美紀はまぎれもない善人だった。それなのに呪われる世の中の不条理。

(くそっ…!何で津美紀が…)

 自販機で炭酸飲料を買って、ゴクゴク飲み込んだ。

 恨み、後悔ーー。
 呪霊の元となる負の感情に支配された心の中。それらを解き放ちたいのに、なかなか上手くいかない。


「伏黒くん?」
 周囲の喧騒を割って入るのは少し幼さが残る、柔らかい声色。

 振り返ると蓮見鈴が立っていた。


/ 94ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp