第2章 出会い
鈴達が橋から帰って行くのを見計らったかのように、伏黒がゆっくり歩いて橋にいるサラリーマン風の男、七海建人の所に戻ってきた。
「伏黒くん、どこに行ってたんですか?」
「周囲に呪霊がいないか確認してただけですよ」
そもそも八十八橋のパトロールを五条から言いつけられたのは伏黒である。学校から近いんだし、今日午前中で授業終わるでしょ、と軽く押しつけられた。
そこをたまたま通りかかった七海が咎めたのである。子どもに何頼んでるんですか、と。
禪院家の血筋で相伝の術式を持つ彼が有能なのはわかる。だがまだ14歳の子どもだ。
「え〜、じゃあ七海が一緒に行ってきてよ。僕忙しくてさー」
他に誰かいるでしょう、という七海の意見は却下された。午前中早々にひとつ任務を終わらせた七海は終業式を終えた伏黒と合流したのだ。
「勝手にどこかに行かれると困ります。君はまだ子どもですから」
「…すみません」
(仕方ないだろ。あいつらが歩いてきたんだから)
同級生が来るのにいち早く気がついた伏黒は速攻隠れた。話しかけられるのも面倒だ。
しかも蓮見がいた。特に彼女には知られたくない。