第2章 出会い
梅雨が明けると同時に、日本列島は灼熱のような夏の暑さに見舞われていた。テレビでは今年は猛暑だとうんざりするぐらい何度も見慣れたキャスターが伝えている。
「嫌だ…、夏休みなんてなければいいのに…」
「どうした、鈴?」
「そうよね〜。夏休みだって受験生には関係ないし、宿題は多いし」
今日は一学期の終業式。夏休みの宿題をたっぷりもらった帰り道。鈴はいつになく深刻な顔をしていた。
「だって!1ヶ月半も伏黒くんと会えないんだよ!?」
(あーあ、また始まった…)
相変わらずの鈴に絵里奈と帆花も呆れ気味だ。最近ますますひどくなっているように思えてならない。
「鈴は伏黒のストーカーが日課だもんねー」
(してない)
「こっそり伏黒の席座っちゃったり?」
(してない)
「体操服の匂い嗅いじゃったり?」
(してない)
「図書室で遠目から眺めたりとか?」
(それはしてる…。私ストーカーなのかな…)
なんて不都合な真実。
「そんなに会いたいなら連絡先聞いたらいいんじゃない?スマホ持ってるでしょ、伏黒」
「そ、それは無理…。断られたらへこむもん」
(…メンタル鋼のくせに)
か弱そうな顔して鈴のメンタルはめちゃくちゃ強いことを親友たちは知っている。でなきゃあの伏黒に片想いなんてできるはずない。