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君のガラス玉越しに【呪術廻戦】

第2章 出会い



 ざぁざぁと雨が降り続く中、後方から来た乗用車がキッと自分のそばで止まった。
 怪訝そうに横を見ると、パワーウィンドウを少し開けて覗き込む白髪の怪しげな男とサングラス越しに目が合った。

「ほら、やっぱり恵だ。今帰り?乗りなよ」

 呪術高専の教師にして最強の特級呪術師、五条悟。
 一応恩人だが、昔からムカつくし必要以上に関わりなくない。

「いいです。別に」

 お構いなしに歩いて行こうとしたら、伏黒に寄り添って車もゆっくりと前進する。

「こんな雨だし、そんな小さい傘じゃ濡れちゃうよ?ほらほら、後ろから車が来ちゃう」

 伏黒は嘆息した。五条は断られることは想定にないらしい。
 左側に回り込むと、素早くドアを開けて後部座席に乗り込んだ。運転手はいつも通り伊知地。任務の帰りだろうか。事務方として有能らしいがいつも五条の送り迎えなんて同情しかない。

「でも恵、準備がいいね。折りたたみ傘持ち歩いてるなんて」
「これは俺の傘じゃありません」

「あれ、貸してくれるような友達いたの?それともパクった?」

 うるさいな。パクるわけないだろうが、それも蓮見から。恩人だろうとやっぱりどこかで殴ってやりたい。

「クラスメイトが貸してくれただけです」
「ふーん、クラスメイトねぇ…。恵、最近学校楽しそうだもんね」

「は?別に楽しくないです」

 五条はむかつく顔でにやにや笑っていたが、急に何かに気がついたように群青色の瞳でじっと伏黒を見つめた。こんなマジな顔されたら、そこらの女子は卒倒しそうだ。

「…恵、なんか匂うね」
「別に…?」

 匂いませんけど、と伏黒は制服を嗅ぎながら答える。

「そういう意味じゃないんだけどねー。まあいいか。どうせ伊知地も気づかないでしょ?」

 運転席からも「はぁ…?」と曖昧な返事が聞こえた。五条からの急な振りはいつものことなので、それ以上会話が続くこともなかった。

(まあ学校だし、魔除けぐらい置いてるでしょ。でもなーんか妙な残穢だな)
 

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