第2章 出会い
蓮見に傘を貸してもらって助かった。
いつも学校の最寄駅から電車とバスを乗り継いで高専の寮へ帰る。この雨なら駅に着くまでにずぶ濡れになってしまうだろう。
転校生の蓮見鈴は階段でのやり取り以来、接点がよくある女子生徒。怖がってあまり話しかけてこない他の同級生とは少し違った。
にこにこと機嫌が良さそうだったり、頬を染めて恥ずかしそうにしたり。
何気なく会話を返せばとても嬉しそうに笑う。
中学を卒業すれば、呪術師になるのはもう決めたこと。この中学の誰とも馴れ合うつもりなんてないのに。
どうせ蓮見とも生きる世界が違うから。