第8章 不可逆的欠損
「太郎太刀、隊長をお願いね」
「わかりました」
第一部隊を編成し、出陣する。
相変わらず男士たちとの会話は最低限だ。
けれどこうした戦闘こそが、最も会話の多い機会となっていた。
何度も耳にして、聞き慣れた声が他人行儀に接してくるのは、心が乱暴に切り裂かれるようだったけれど。
無関心や無視のゼロよりはマシだと、それでも会話を喜んでしまう自分がいる。
我ながら哀れで滑稽なものだ。
初回の出陣は、つつがなく終了した。
はじめは手入れに驚き、戸惑っていた男士たちも今は慣れたものだ。
あの虚を突かれたような反応は、いまだに解せないが。
不具合があったとかで、昼過ぎに緊急メンテナンスが実施されることになった。
急に予定が空いてしまったので、男士たちには自由にしてもらい、私は書類作成などの事務仕事をすることにした。