第1章 主が消えた夜
「2人とも、こんなとこにいたら体冷えちまうぜ?」
唐突に2人の背中からひょこっと獅子王が顔を出した。
無邪気な瞳が、星屑を反射しているようにきらきらと輝いている。
「ビンゴっていうのやるから呼びに来たぜ!」
「びんご、とな?」
「おう、景品ももらえるらしいんだ! なっ、早く行こうぜ~」
「ははは、そんなに引っ張るな」
祖父と孫のようなやりとりも、もう見慣れたものだった。
引っ張られながら、三日月が穏やかに言う。
「どうやら、勝負の続きは明日のようだな」
「……そうだな。明日、また」
楽しみなことが増えていく。
当たり前のように、騒がしくも満ち足りた夜が更けていく。
そしてまた変わらない明日が来ることを、鶯丸は疑わなかった。