• テキストサイズ

【刀剣乱舞】ラプラスの演算子

第7章 望まれた悪夢


 それを聞くやいなや、男士たちが一層わっと泣き出す。

 普段はツンと澄ました顔の宗三ですら、白い目元を赤く腫れさせ、小夜と一緒にさめざめと泣いていた。

 あまり感情を露にしない骨喰も、鼻の頭まで赤くして泣き腫らしている。

 なんなら瞳が怒っているようにすら見えた。

 隣の鯰尾は安心と緊張の糸が切れたのか、弛緩しきった笑みを浮かべながら泣いている。

 二人の対比が、なんだかおかしかった。

 燭台切はなんか白く燃え尽きていた。

 穏やかな微笑のまま、脱力して虚空を見つめていた。

 彼は他者のケアに回りがちなところがある。

 きっと俺が目を覚まさない間、いろいろと気遣って回っていたのだろう。後でめいっぱいお礼をしなければ。

 と決意していると、視界のはしでふるふると震える白い布が見えた。

 透明すぎるしずくを頬に伝わせるのは、山姥切だった。

 陽の光を反射して、瞬きのような輝きが床に落ちていく。

 泣き方も綺麗なんですね、なんて言ったらそれは怒られそうだ。

 そして加州。

 彼は一生離さないとばかりにしがみついていた。

 相変わらず顔は涙と鼻水で大洪水といった具合だ。

 目元は爪と同じくらい赤く、長いこと泣き通しだったのだろう。

「心配……かけたんですね」

 加州の頭を、そっと撫でた。

 抱きつかれているので顔は見えないが、噛み殺した嗚咽が聞こえてくる。

 加州は身をよじり、顔で胸元をぐりぐりしてきた。

 いやいやをする幼児のような仕草に、愛おしさがこみ上げる。
/ 223ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp