第7章 望まれた悪夢
それを聞くやいなや、男士たちが一層わっと泣き出す。
普段はツンと澄ました顔の宗三ですら、白い目元を赤く腫れさせ、小夜と一緒にさめざめと泣いていた。
あまり感情を露にしない骨喰も、鼻の頭まで赤くして泣き腫らしている。
なんなら瞳が怒っているようにすら見えた。
隣の鯰尾は安心と緊張の糸が切れたのか、弛緩しきった笑みを浮かべながら泣いている。
二人の対比が、なんだかおかしかった。
燭台切はなんか白く燃え尽きていた。
穏やかな微笑のまま、脱力して虚空を見つめていた。
彼は他者のケアに回りがちなところがある。
きっと俺が目を覚まさない間、いろいろと気遣って回っていたのだろう。後でめいっぱいお礼をしなければ。
と決意していると、視界のはしでふるふると震える白い布が見えた。
透明すぎるしずくを頬に伝わせるのは、山姥切だった。
陽の光を反射して、瞬きのような輝きが床に落ちていく。
泣き方も綺麗なんですね、なんて言ったらそれは怒られそうだ。
そして加州。
彼は一生離さないとばかりにしがみついていた。
相変わらず顔は涙と鼻水で大洪水といった具合だ。
目元は爪と同じくらい赤く、長いこと泣き通しだったのだろう。
「心配……かけたんですね」
加州の頭を、そっと撫でた。
抱きつかれているので顔は見えないが、噛み殺した嗚咽が聞こえてくる。
加州は身をよじり、顔で胸元をぐりぐりしてきた。
いやいやをする幼児のような仕草に、愛おしさがこみ上げる。