第7章 望まれた悪夢
「ぐふっ」
「よ、よかったああああぁぁぁぁ」
「うわああああぁぁぁぁあんんんんん」
「あ゛る゛じい゛い゛い゛い゛い゛い゛」
もみくちゃにされ、息ができなくなる。
かろうじて、悪役がやられたときのような変な声が出た。
どうやらみんなが一斉に飛びついてきたらしい。
誰の腕だか足だか(?)わからないものにぎゅうぎゅうと締めつけられる。
それはとても暖かくて、いつの間にか、機械音も男の声も遠く聞こえなくなっていた。
「俺主にまだ愛されてるよね!?」
やにわに問われる。加州の顔は、涙と鼻水でぐずぐずになっていた。
「えっ」
「主っ! 加州はともかく俺のことは!?」
「俺たちのことは、だろっ!」
必死すぎる長谷部に、薬研が食い気味にかぶせる。
唐突な質問に困惑していると、燭台切がうっすら涙を浮かべた微笑みとともに説明してくれた。
自分が急に倒れ、しばらく目を覚まさなかったこと。
それと、審神者の人が変わってしまう噂。
変わってしまった結果、審神者をやめたり、いなくなったりしてしまった噂。
それらの噂をひどく信じこんでしまっていた刀剣たちは、急に倒れた俺が、目を覚ましたら“人が変わって”しまったのではないかと、そう最大級の不安に襲われたらしい。
えぐえぐと泣きながら、ひしっと抱きつきながら、捨てられた子犬のごとき潤んだ(男士によっては潤むどころか滝のような涙をこぼしている)瞳で、男士たちが答えを迫ってくる。