第7章 望まれた悪夢
再度場面が変わる。
今度は、機械がたくさん置かれた部屋にいた。
サーバー室だろうか、規則的な冷却ファンの音がする。
「~~! ――~~!」
その音に混じり、叫び声が聞こえた。
俺は声のある方へ、サーバーの筐体の間をすり抜け歩いていく。
声はどんどん鮮明になっていった。
間違いない、少年の声だ。
「ここから出して!」
目に飛び込んできたのは、機械に繋がれた姿だった。
少年は入院服のような布を着せられ、台の上に寝かされている。
四肢は拘束されており、至るところに細いチューブが接続されていた。
傍らには大きな機械があり、なにかの数値を常に更新し続けている。
床には少年を中心に添えるように術式が描かれ、温度のない霊力があたりに漂っていた。
少年の瞳には、ありありと恐怖が浮かんでいた。
目尻には涙の跡があり、その跡の上をしずくが際限なく滑り落ちていく。
何度も叫んだのか、声には掠れが混じっていた。
自分に何が施されるのか、何も知らされていないのだろう。
少年のまわりで、数人の白衣が作業をしていた。
誰も少年の声に耳を傾ける者はいない。
答える者も、勿論いない。
実験体。
そんな単語が頭に浮かんだ。
やがて作業を終えたのか、一人一人部屋を後にする。
彼らは、ガラス越しに隣接した部屋に入っていき、席に座った。
今度は、モニターや手元のキーボードを忙しそうに叩いている。
この幼いモルモットに、一人残った白衣の男がなだめるように声をかけた。
「一定の戦績をあげれば、故郷に返してあげよう」
男はそう言うと、手元の操作盤になにかを入力した。
機械の駆動音が変わる。
断続的な高音が鳴り響き、呼応するように、床に描かれた術式が蒼白い光を帯びていく。
「どういうこと……?」