第6章 初期化された祈り
鶯丸の本丸は、審神者は、ほかの男士はどうなっているのだろうか。
前田がそうであるように、全員他の本丸に散り散りになっているのだろうか。
本丸がひとつ解体でもされたような状況だ。
でも、誰が何のために?
もしかしたらこれは、政府すら把握していない、歴史修正主義者の攻撃なのか。
いや、待てよ――
ふいに、ある事実が脳裏を走る。
前田は、移動記録を残すことを避け、結界の中で話すのを希望していたという。
それは、政府すら疑っていたからじゃないか――?
『ぜったい助けにいくからっ!』
突然“声”が頭の中に響いた。